お知らせ

12月定例会のご報告

2025.12.24

12/16(火)12月定例会が終了したため、ご報告です📣

本定例会での主なトピックは、補正予算として議案にあがってきた以下の4点です。

①学校体育館のエアコン設置❄️

②子ども医療システム改修経費🩺

③生ゴミ処理機の購入♻️

④部活動の地域移行🏃‍♂️🎺

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①学校体育館のエアコン設置❄️

学校体育館への空調設備整備として、約57億円規模の補正予算が提案されました📝
本事業の目的は「児童の熱中症対策」と「災害時の避難所機能強化」とされながらも、市側の提案は全校一律スポットバズーカと呼ばれる、強力な冷風を送ることで温度を下げる方式の空調設備でした。

9月定例会中にも、市の担当課からバズーカ方式を検討している旨が議会側に伝えられていたものの、議会側からは、

「強い風力が児童の運動(バドミントンや卓球など)に不向きでは」

「通常の天吊り式と比べて騒音が大きく、避難所として本当に適切か(特に夜間の騒音)

「災害時の電源確保プランが明確でない」

などの意見が出され、私としては事前に伝えた上記の課題に対応する修正がなされた上で、議案として提出されると考えていましたが、我々の意見に対して完全な「ゼロ回答」の議案。。。

議会の意見(=ひいては市民の意見とも言えるはず)が全く反映されなかった提案に対し、補正予算特別委員会にて私から指摘したのは、

  • 今の議案を可決したとしても、エアコン設置は最速でも来年7月から開始となり、年度末にかけて順次設置が進む。つまり、市の提案の現時点で「来年の夏に使用できる学校はほぼない」という事実(=ほとんどの学校は再来年(2028)の夏から使用開始となるため、設置プランの修正はまだ可能)
  • 空調方式の選択を検討する際に行ったコスト比較では「非常用電源の購入費用が試算に含まれていない(=高額な防災型エアコンとの比較には、本来、「バズーカ方式+非常用電源の費用」で比較しなければ、同条件での比較とは言えず、市の試算ではバズーカ方式が極端に安価に計算されている)

という点。

これらを踏まえて私から行なった提案は、今のバズーカ方式をベースとしながらも、一部の体育館(避難所)には「防災型エアコン」を設置するハイブリッドプラン。具体的には短期使用が想定される一次避難所=バズーカ方式、長期使用や支援が必要な方々の避難を想定する二次避難所=防災型エアコンとして、改めて所管課に見積りを要求したところ、

・バズーカ+非常用発電機=60.8億円

・バズーカ+防災型エアコン=65.8億円

と示され、緊急防災・減災事業債を使用すれば市の実質負担は30%であることから、「+約1.5億円で避難所の災害対策を強化できる」ことが明らとなりました。

この議論で一気に潮目が変わり、私を含めた超党派で議論の末、私の当初案の避難所区分で空調方式を分けるのではなく、部活動の使用が多く見込まれ、主に二次避難所として使用される「中学校体育館に防災型エアコン」を設置し、小学校については当初の予定通りバズーカ方式を導入することを修正案として提案しました(防災型にするには予算の増額が必要であり、議会としては減額修正するしか方法がないため、当初提案の64小学校40校のみ、への一部減額修正としました)

当初、多数会派では「騒音・風力の課題、防災面での不備は明らかだが、児童の熱中症対策のためには市の提案を可決せざるを得ないのでは、、、」という流れでしたが、私の意見を柔軟に議会の皆さまに受け入れて頂き、議会の意思を反映させた修正案に辿り着けたことは、一議員として感無量でした😢

防災型エアコンはガス式であり、電気式とガス式の異なる種類を導入すれば施工業者の選択肢も増えるため、生産・取扱いが一社のみに限られるバズーカ方式に比べて柔軟に工期も組むことができ、結果的には当初予定と設置完了時期も大差ないのでは、と期待しています🙋‍

②子ども医療システム改修経費🩺

奈良市では来年夏から未就学児の医療費を無償化する方針を打ち出しており、それに必要となるシステム改修費が「本体部分」の議論に先行して、補正予算として提示されました。

私はこれまでの奈良市の医療費データを分析し、医療費助成の拡大後や現物給付への変更後に、医療費が大幅に増大している点を9月定例会でも指摘してきました💰

もし無償化を予定通り進めるなら、他の中核市のデータや論文報告を参考にし、医療費に関して無償化が及ぼす影響を正確に分析すること、またいわゆるコンビニ受診が増えることで夜間・救急医療体制がひっ迫する可能性はないのか、受診率のデータ等についてもしっかり分析するよう伝えてきました📈📊

ところが、今回の提案に関して一般質問・委員会で市側に解析データの開示を求めたところ、

①奈良市が負担する医療費助成は6%増加すると見込んでおり、奈良市としては9700万円の支出増でR8年予算を組むつもり、と。

しかし、試算に使用したのは奈良県内の小規模自治体3市のみ、わずか半年間のデータを切り取ったものであり、市長が力強く進めると仰られていたEBPMとは程遠いものでした。

②一方で、受診率については委員会の要求資料として市側に公式に要求しましたが、過去の奈良市のレセプトデータ(単なる数字の羅列)しか提出がなく、受診率の増加について正確な試算はしていないことが明らかとなりました。

私自身、「持続可能な医療体制」が今後の医療政策に求められる1つのテーマだと思っており、医療費助成は仮に是としても、無償化までは不要ではないか、と考えていますが、実際に無償化を行う自治体が奈良県内でも増えてきていることからも、止められない流れであるとも認識しています。

しかし、今は国会でも社会保険料を抑えるべく、OTC医薬品の保険適応除外などにより医療費高騰を抑制する方法を模索していることを踏まえると、無償化による「負の側面」にも目を背けず、それでも無償化により全市民に負担を求める形で子育て支援策を進めるのか、その点を問うていました。

しかし、現時点では私が提言した解析すら十分に行なっておらず、無償化により起こりうるデメリットを市民にも十分に説明できない状態で施策を進めてしまうのは不適切であると考え、議員の皆さまにも部屋を回ってご説明させて頂き、議論がまだ不十分な本定例会では議案を否決し、無償化のリスク評価ならびに必要となる医療対策を検討してもらうための準備期間を設けることを提案しました。

これを機に、行政がEBPMについて知識を深め、それに基づいて必要な施策を選択できるようになることを望みます。

休日や夜間の医療逼迫を予防するためには、市が考える「啓発」だけに留まらず、

🔵休日・夜間救急の診療体制強化

🟢コールセンター開設などにより、休日や夜間の子ども受診相談窓口を強化すること

🟠子どもインフルエンザワクチンの接種補助などにより、予防医学を推進すること

などが選択肢として挙げられます。

コロナ禍以降、子どものインフルエンザワクチンの接種率が下がっているとの報道もあり、私としては今回の無償化の対象となる未就学児だけでも接種補助をして受診率を下げることで、休日・夜間の救急ひっ迫防止+医療費抑制の両方を期待できると見込んでいます(市の試算では、未就学児に1500/回補助する費用は総額で約1800万円とのこと)

今回の否決を糧に、市側が適切な医療政策をセットした「1つのパッケージ」として議案を出してくることを期待しています。

 

また同時に、委員会では未就学児の「一律無償化」以外の選択肢として、助成(無償化)を広げる対象を限定した場合の費用試算を求めました。その結果、

・住民税非課税世帯のみ:約665万円

・ひとり親家庭のみ:約277万円

・心身障害者のみ:約109万円

など、真に支援が必要な層に絞れば、比較的少額で実施可能であることも確認されました。

今回、限られた時間の中でも自分なりに様々な提案をしたつもりですが、恐らくエアコンの議案と同様、3月定例会が開会するまで市側からの回答や相談はないでしょうし、蓋を開けてみるまで議案内容は分かりません。私も実際10月・11月の休会中に何度も担当である「子ども給付課」とはやり取りしていましたが、今回の議案についても一切相談はありませんでした。

我々議会としては休会中の1月も2月も喜んで相談を受けたいと思っていますし、市には今後より良い議案を提示するためにも議会と協調する姿勢を持ってほしいと願っています。

③生ゴミ処理機の購入♻️

来年に予定されている焼却炉の改修期間中のゴミ減量策(ゴミ量を減量して区域外処理コストを削減する)として、約1.7億円の補正予算が計上されましたが、そのうち約1.6億円が生ごみ処理機の購入費用という内容でした。

委員会での質疑で明らかになったのは、生ごみ処理機により得られるコスト削減効果は、

  • 短期的(改修期間の6か月間)なコスト削減効果は約2,200万円にとどまり、1.6億円という投資額に対し、短期的な費用回収は困難
  • 長期的(改修後、新クリーンセンター建設を見据えて)にも、高稼働率を維持できなければコスト削減効果は得られず、それ以下の稼働率なら市の支出は削減するどころか、むしろ増えてしまう(市の目標は80%、私の試算では最低でも60%以上)

ところが、生ゴミ処理機を設置予定である学校の給食残渣量(実績値)をその処理能力に当てはめると、稼働率は30%程度にとどまる可能性も同時に明らかとなりました⚠️

購入費用を超えるコスト削減効果の見込めない処理機を約1.6億円かけて補正予算として支出する、という選択肢は市としてはありえません。単なる無駄遣い、とまで言い切っても過言ではない議案内容でした。私は委員会にてこれらの数字を具体的に示し、投資額とそれによって得られるコスト削減効果を「見える化」することで、本議案が可決すべき内容ではないことを市側・議員側にも丁寧に説明できたように感じています。

結果として、この生ゴミ処理機の購入費用を削除した修正案がほぼ全会一致で可決となりました。

一方で、雑がみ回収の強化は、比較的低コストで高い削減効果が期待できる施策であり、短期的なごみ削減策として優先すべきと考えます。

市においては「予算ありき」で使途を決めるのではなく、どの施策が最も効果的か、費用対効果を十分に検証した上で進めるべきと強く訴えました。

④部活動の地域移行🏃‍♂️🎺

奈良市では来年4月から、業者に委託して部活の指導員を派遣する形で部活動の地域移行を進めるつもりにしており、この運営体制の構築に必要となる費用として3200万円、また実際に地域移行してからの運営費用(指導員の報酬など)として債務負担行為を4年で計8.1億円を補正予算として提案してきました。

この議案については、ほぼ議会からの意見は一致しており、「市の進める部活動の地域移行が唐突、かつ児童・保護者への説明・周知が不足。わずか数か月後から開始予定にも関わらず運用詳細が詰められておらず、完全移行するには準備が不十分」という指摘でした。他市での事例のように、本来は指導員の募集や地域移行を段階的に行い(例えばまずは休日のみ開始etc)、部活動にかかわる児童や保護者、教員、皆が納得できる形で移行するのが適切である、という点については議会の共通認識でした。

現時点での市の提案がベストではないことは明らかであるものの、議案として可決・否決のいずれが市民にとってベターなのか、そこで議会の意見が分かれました。

仮に可決しても、定例会中にはまだ募集中であった指導員が4月までに充分数集まるか不透明であり、万が一不足した場合には4月以降の部活動ができなくなるリスクがあります。あるいは、子どもたちの活動に支障が出ないよう、これまで通り教員が担当するとなれば、「教員の負担軽減のための地域移行」という観点では本末転倒になるリスクもありました。

一方で「移行は拙速」という理由で否決した場合、奈良県としては土日の部活動を休止する見込みを発表していることからも、少なくとも土日の部活動の指導員はいなくなることになり、結果的に部活動をしたい子どもたちにとって不利益が生じることになります。

私が未来の会ならびに無所属議員のご協力を得て提出した修正案では、前述の エアコン、子ども医療費 のみ減額修正し、については市の原案を残す形で修正を行いました(③は別会派が減額修正を提出)。理由としては上記の通り、土日の部活動休止という明らかな不利益が予想されるため、次善策としての選択でした。原案を通し、一刻も早く指導員募集や運用方法の決定を4月までに行うことを市に求める、という決断でした。

結果としては我々の修正案は否決され、次にも削除した自民・公明・維新からの修正案が可決となり、部活動の地域移行の予算も見送られることとなりました。

もちろん我々の提案がベストであったかどうかは不明ですが、市が提案する議案を頭ごなしに反対する、というスタンスは議会として適切ではないと自分自身考えており、本件においても少しでも市民(今回は児童・保護者・教員)にメリットがある選択を行うという点では、を残す修正案を提案できたことも、議会としてプラスだったと考えています。

今後も無所属議員として、議案ごとに是々非々のスタンスで行政に挑んでいきたいと思います💪!